<2022年7月22日追記>
TOHOシネマズ系などでの上映は終わったもののミニシアター系を中心に全国で再上映掛かってるようなので、皆さん改めてチャンスがあれば観に行ってください!!関西では8月5日(金)から京都の出町座で、8/19(金)~ 8/25(木)に兵庫の塚口サンサン劇場で公開が決まっているようです。
<追記ここまで>
映画『恋は光』が全国の映画館で2022年6月17日から公開中です。公開からまだ2週間なのですが、各劇場では上映が1日1回になっていることも多いです。僕もそういうのがあり今日慌てて観に行ったんですが、とにかく最高というか原作以上に話をしたくなる作品だったので、皆さんにも観に行ってもらって一緒に話したいので、ブログを書いています。
原作を読んだことない人は観る前でも後でも良いので読んでください。
ここから先、映画を観て一緒に行った人と散々飲みながら話して帰ってきて書いた記事をお届けします。(この先、作品に関する重大なネタバレを含みます。続きを読む場合は、1画面分スクロールしてください)
#恋は光 、原作をどう2時間にするんだろと思って訝しんで見たところ、かなり頑張ってまとめてるな〜って思って観てたら、最後の10分の展開が凄すぎて今年のベストに躍り出た!!ただ原作ファンは賛否ありそうな気もするが、原作読んでたからこそ良かったと思えた。あと、サントラがめっちゃ良かった!
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2022年7月3日
この記事に言及してくださっている感想ブログ
この感想記事を書いた甲斐がありました……
感想
(ここからめっちゃ語るんですが、パンフレットも手に入っておらず、監督などのインタビューも読んでないので、なんかそういったものの記述と異なっていても、初回視聴後の素朴な感想の書き殴りであるということで受け入れてもらえると幸いです)
まずは映画としての素朴な評価なんですが、聞いていた結構前評判が良かったのでかなり期待していたんですが、そういう意味では正直途中までは結構訝しい感じでした。原作を読んだ人は分かると思いますが、7巻を使って積み上げていく女子3人組の関係性とそこに西条を加えた4人の相関図というものを育て上げるには2時間という尺は厳しすぎたのはあると思います。
その結果、原作をかなりしっかりアレンジを加える他ならず、その数多くの改変によって脚本がまとまっていました。そのアレンジは全体で見るとやはり仕方ないものであったと思いますが、女子はいつの間にか打ち解けてるし、北代が(原作でそれを伝えること自体が西条の葛藤となっていた)西条が光が見える話とかセンセと親との関係の話を無断で東雲に話しているし、宿木はただの嫌なやつというか物語装置になってしまっていると思いました。
これだけを見ると邦画でよくある"失敗した実写化"であったと思います。僕も1時間半くらいを過ぎた頃くらいまでは本当にそう思って観ていました。「え、これTwitterとかで評価も良かったし、原作も好きなのにこんな程度の作品なの、観終わったあとに感想何を話せば良いんだ??」って。
ですが、そんな不安も抱いて観ていた今回の「恋は光」の実写化を観た最終的な感想は、実写化のためのご都合主義に見える凄まじい改変も、力強く研ぎ澄まされたリスペクトを持ってしっかりと改変されきると、拍手喝采を持ってエンドロールを迎えられるくらいにしっかりした作品に昇華されるのだということでした。最後の(多分)10分の展開に僕は強いリスペクトを感じて、それまでの不安が吹っ飛び終わる頃には本当に僕はそのように受け入れていました。
原作では最後、西条は北代をフッて東雲を選びます。どっちかを選ぶのではなく、大切だからこそ自分よりも良い人と幸せになって欲しいと北代に伝え、そして東雲と付き合い始める。それが原作での西条の答えで、秋★枝先生自身の考えた「恋とは何であるか」の答えであったと思います。原作の6巻や7巻などの巻末あとがきで秋★枝先生が、この作品は先生自身なりの「恋とは何であるか」の答えであるということや、北代が所謂"負けヒロイン"になってしまうことへの葛藤を書かれていました。「愛」や「情」ではなく、「恋」がテーマなので北代ではなく東雲になったと書かれていました。
なんとこの実写映画版ではその「答え」に、西条は東雲をフッて北代と付き合うという「答え」を提示するということを成し遂げてしまいました。
これは本当にスゴい展開でした。本当に唖然としましたし、稀によくある実写化での原作を毀損するエンド改変と同じだと言われるかもしれませんが、僕はこのシーンを受け取って、これこそが原作を最大限リスペクトした実写化を目指した結果なのだと感じました。
映像や原作のセリフを丁寧にそのまましかし順番や場所を変更して紡ぐことで生み出したミスリード。「あーあ、これは原作でも見た北代ではなく東雲を選びm北代の負けヒロインっぷりが描かれるシーンだな」と皆が思ったところで、原作が持っていた大きな流れをぶった切るわけでもなく、そこから言葉を紡ぎ、北代を受け入れる西条の姿がそこにありました。そして最後、北代は西条の手を掴み一緒に「手を繋いで」歩き出してエンドロール。この展開を『恋は光』という作品で観れるとは夢にも思っていませんでした。
この映画を観る前に友人は「『恋』なら東雲を選ぶのは絶対に正しいと思うけど、もっと年を取ったり、長く続けるなら絶対に北代を選ぶべきだった」と言っていました。この展開を見た瞬間にその友人を瞬時に思い浮かべたのは言うまでもありませんし、実際すごく喜んでいました。この実写化でその新たな「答え」が提示されたことで、『恋は光』という作品が持つ世界観が広がったのではないかと思いました。それこそが原作が終わってから時間が経った今わざわざ実写化する意味であると思いましたし、最大限の価値が生み出されていると思いました。
このオチを描くために原作のあらゆる要素の切り刻み、セリフをつなぎ合わせシーンをオリジナリティを持って生み出したこと、央がほぼオリジナルな設定で登場させたこと*1、原作には特に関係ない岡山をロケ地に選び、どこか分かるようなシーンをわざわざ入れ込んだこと*2など、蛇足だったのではと思うことも多々ありましたが、そういった些細なことも全て受け入れてしまうくらいこの最後を実写化に際して選び取った小林啓一監督*3・関係者の皆さんに最大限の賛辞を送りたいと思います。
皆さんも是非、お近くの映画館で上映が終わる前に観てください。そして、この作品を観たあとに一緒に「恋バナ」しましょう。原作と映画で西条の振る舞いはどうだったのか、ってか西条がめっちゃ長文をしたためて東雲に朝一に届けに行ってフるの自分に酔いすぎでしょ、いや真摯でいいでしょ、いや、キモいでしょ、とか、やっぱり東雲とくっついて欲しかった〜とか、北代で良かったじゃんとか、宿木頑張れ〜とかそういうのを皆さんと話したいです。よろしくおねがいします。
あと、そうそう、劇伴がめちゃくちゃ良くて、野村卓史さんの音楽がとにかく良かったので、サントラ欲しいなと思ったんですが、サントラが売られてなかったので悲しんでいます。観に行く方はそこもオススメです*4。