id:esuji5 からゆゆ式界隈で実しやかに囁かれている噂として、所謂「マリカー訴訟」において「マリカー」略称の使用事例として『ゆゆ式』が使用されたのではないかという説があるという話をちょうどこういうTweetと共に聞いた。
訳あって株式会社マリカーの件について調べてたんだけどこれってさりげなくゆゆ式が任天堂の訴訟に役立ったのとゆゆ式の例の台詞を任天堂が認めた可能性があるんじゃないだろうかhttps://t.co/tEVCZWEjct pic.twitter.com/ReoFTOXHPY
— イコア (@ikoa9) 2022年8月14日
東京地裁平成30年9月27日判決より
少なくとも平成22年頃には,ゲームとは関係性の薄い漫画作品においても何らの注釈を付することなく使用されることがあったこと
が引用されたウェブサイトを見た人がこういうTweetをしていて、実際に『まんがタイムきらら』の平成22年(2010年)の4月号に掲載された話の冒頭にこういうコマがあるということも教えてもらった。
実は知っている人が居たり、どこかで言及されているのではないかとGoogle検索でそれらしき検索をしてみるも、判例を紹介しているサイトではどこも上記のサイトと同じ部分を引用しているサイトばかりで、あとはTogetterが見つかっただけだった。
というわけで、実際の判例を見に行って「平成22年」で文章内検索すると、以下のような記述を発見した。(追記 2022/08/19 11:45: 一審と二審でこの箇所に関する表現が異なっていることについて末尾に追記を行いました)
「マリカー」は,例えば,平成22年から平成25年にかけて発行された3作の漫画作品中で,「マリカーの訓練を…」,「あの2人から家賃もらった日はマリカーハイスコアが出るんよねえ…」,「いや~結局マリカー対決10周…」,「マリカーのキラー状態じゃねーか!!」といった台詞において,何らの注釈を付することもなく「マリオカート」の略称として使用された
具体的なセリフとして次の4つが3作の漫画作品から引用されていることが分かると同時に「ゆゆ式」のものではないことが分かった。
1つ目はちょっと怪しいが2つ目や4つ目は結構ユニークそうなので、探せば見つかるのではということで探し始めた。
まず4つ目はこのセリフでググるとYahoo知恵袋の以下のページがヒットした。
どうやら『斉木楠雄のΨ難』3巻ということが分かったので購入をして確認したところ、たしかに記述があった。
このYahoo知恵袋の質問は『マリカーのキラー状態』の意味が分からないという質問なのがちょっと面白いというか皮肉っぽいが、「!」の数なども一致していて、発行年月が2013年(平成25年)1月4日なのでこれで間違い無さそう。
これで1つ見つけたので、とりあえずここまでをTweetしてみた。
本当にゆゆ式だったら面白いなと思って、マリカー判例に当たると実際のセリフが4つ書いてあった。ゆゆ式の「それともマリカー大会する?」に当たるのは無さそうだったんだけど、逆に何の作品か気になっている。「マリカーのキラー状態」は『斉木楠雄〜』3巻105ページっぽい。https://t.co/lPHpXWyMGo https://t.co/B6pfyQyXmT pic.twitter.com/GaJSTiV0Ph
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2022年8月16日
すると、「あの2人から家賃もらった日はマリカーハイスコアが出るんよねえ…」は『聖☆おにいさん』ではないかという指摘があった。
聖☆おにいさんじゃないかな
— もこ 8/13(土)東1・I25b (@moko_oxygen) 2022年8月16日
なるほど、たしかに大家の松田さんはマリカーが得意だったし、家賃を払う2人も出てくるということで、コミックDAYSで貯めまくった「いつでもチケット」を大発動して、平成22年〜25年に発行された5巻〜9巻までの範囲の話をチェックした。見つからないな〜と思っていたら、各話の後に1ページ付いている「おまけページ」に載っていることを id:kebus が(載っている思い当たりがあったらしく、確認して)教えてくれた。コミックDAYSでは載っているが無意識に読み飛ばしていたらしい。
というわけで、めでたく「あの2人から家賃もらった日はマリカーハイスコアが出るんよねえ…」のセリフは『聖☆おにいさん』13巻掲載の90話後のおまけページに載っていることが分かった。それがこちら。
これをきっかけにおまけページを見直したところ、5巻30話のおまけページに「マリカーの訓練を・・・」のセリフを発見!!!!
これで残るセリフは「いや~結局マリカー対決10周…」だけになった。『3作の漫画作品』という表記から、3作と書かれていたので別の作品だろうと思って、なんか腰を据えてなんとかするかと思っていたところ、id:kebusからこのセリフも見つけた旨教えてもらった。
マリカー対決も聖お兄さんでした(94話) pic.twitter.com/X28fg9Ae99
— ケブ (@keb8729) 2022年8月17日
『聖☆おにいさん』13巻収録の94話の今回は本編中に以下のようなコマがあった。
ということで4つ全てのセリフを発見することが出来ました!!!!!!
『3作の漫画作品』は『斉木楠雄のΨ難』3巻、『聖☆おにいさん』5巻と13巻ということなのだろうと理解をしておくことにしました。ちなみに『聖☆おにいさん』13巻は2016年10月21日発売なので、平成28年じゃんという気がするんですが、この辺はなんか最初が分かれば良いので曖昧でもOKという感じなんですかね、有識者居たら教えて下さい(追記 2022/08/19 11:45: ここの年月への言及について分かったことがあるので末尾に追記しました)。
ちなみに、『聖☆おにいさん』の作品内で最初に作中に『マリオカート』への言及が行われる時(4巻収録の27話)はフルネームで書かれていました。
さらには2013年(平成25年)8月発売の9巻収録の58話にも『マリカー』という略称が出てくるので、13巻のような新しいセリフを引用しなくても良かったような気もしました。
まぁなにはともあれ、「マリカー訴訟」で任天堂が『斉木楠雄のΨ難』と『聖☆おにいさん』を証拠として引用していたことが分かりました。『ゆゆ式』じゃないのは残念でしたが、『聖☆おにいさん』の単行本おまけページが証拠として引用されているのは面白かったですね。甲21の1・2,甲22,甲23の1・2
として提示されていそうなので、これらを確認する術があれば答え合わせが出来る(追記 2022/08/18 12:20: 判例閲覧請求すると見れるとのことなので、今度東京に行くときに地裁に立ち寄ってみようと思います)のですが、まぁここまで見つけられたので満足しました。
追記 2022/08/19 11:45: 『聖☆おにいさん』13巻が平成28年発行な件について
この記事の冒頭などで引用していたものは「東京地裁平成30年9月27日判決」だったのですが、その後の控訴審(二審)、「知的財産高等裁判所令和元年5月30日判決」における判決文では該当箇所が「平成28年」に修正されていました。
「マリカー」は,平成22年から平成28年にかけて発行された3作の漫画作品中で,「マリカーの訓練を・・・」,「あの2人から家賃もらった日はマリカーハイスコアが出るんよねえ・・・」,「いや~結局マリカー対決10周・・・」,「マリカーのキラー状態じゃねーか!!」といった台詞において,何らの注釈を付することもなく「マリオカート」の略称として使用された
一審のときにはなんらかの誤りがあり、この部分が二審判決時には修正されたということなんですかね、ちょっと面白い。これで『聖☆おにいさん』13巻がちゃんと範囲に入っているということが分かりました。ブコメで id:esuji5 さんに指摘してもらって改めて調べ直した結果、発覚しました。ありがとうございます。
マリカー訴訟で任天堂側が「マリカー」略称の使用事例として挙げた漫画作品は何だったのか調べた - ぱすたけ日記まとめ記事感謝/"13巻は2016年10月21日発売なので、平成28年じゃん"に関しては判例文に"平成22年から平成28年にかけて発行された3作の漫画作品中で"とあるので、合ってるかと/3作目がゆゆ式の可能性も微レ存?
2022/08/18 10:59