「ユニコーン企業のひみつ」をGW中に読んだあとに書いたツイートを貼りつつ補足を書いてみます。
ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方
- 作者:Jonathan Rasmusson
- 発売日: 2021/04/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
読んでから数日経って振り返った感想としては
- 書いてある内容は現実の良い話事例とそれを抽象化したプラクティスという感じで良かった
- 全体を通して、すでに実感していたりエピソードとして知っていることも多いが、それらについて言葉を使った効能の説明があったり、そのことに関して自分には無かった視点からの説明のアプローチがあったりして、気付きがあるという感じだった。
- 一方で"エンタープライズ企業"の社員がこれを読むのは「スタートアップに転職したときのための心準備」という感じだし、さらにスタートアップの構成員が読んでも、じゃあこれに感化されて「企業組織」を作れるかというとそれも怪しいなと思った。そういう意味ではこの本で熱を受けたらその熱をなんらかの方法で上司に伝播させトップダウンで文化を作ったり変えていくことを決める必要がありそうだなと思った。
- 権限や信頼は勝ち取っていって、それを我々に与えることで生まれる価値を示し続けるのをやっていくしかないといけないなぁと思った
『ユニコーン企業のひみつ』を読んだところ、意外と今これに近いことをやっているなぁと思った。人数とかが違うからトライブみたいな概念とかはないし、データサイエンスも甘いけど|角谷 信太郎 の ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方 https://t.co/UoEYJsF55g
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
大方針は社として示されているけど、満たすためのプロダクトの進め方はチームで決めているし、バックログの優先度も当然そう、会社の財務情報などは常に開示されているし、会社や仕事のためにならある程度自由に使えるプリペイドクレジットカードが与えられているし、それらが職種問わず文化横断してる
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
それでもこれを読んで良かったと思ったのは、その1つ1つについて名前や理由や目的やどうやっているかとかが文字として表現されていて、自分たちの立ち位置や向き合い方を振り返れた。「核となる理念」とか「組織文化」として体現していくということが明快に説明されていて、やっていきだな〜と思った。
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
- 僕がアルバイトだった頃から4半期会で会社の財務指標や各サービスの指数が社長から説明付きで共有されていて便利だな〜と思っていた
- こういう情報公開が大小色々あると横から口を出してコラボレーションも出来るし、ボトムアップでチームとしてどういうアプローチで問題を解決するかを話し合える感じになっているなと。
- 改めて自分たちが得ている文化みたいなのってこういう風に説明できるんだなと思った。こういうのを使って、その状況の価値というのを伝え続けていく必要があるなと思うなどした。
ちょうど知り合いからスタートアップ・テック企業の文化の構築について相談されていてちょうど「信頼する」と「権限を与える」の2本柱は簡単なようで言葉で伝えるのはちょっと難しいなと思っていて、ちょうど実感とかもマッチするなと思った
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
- ちょうど知り合いから「スタートアップで『テック企業文化』を作るにはどうしたらいいと思うか」という相談をされていて、ちょうどTeam Geekとかを引用しながら、スタートアップとエンジニアカルチャーみたいなことを考えていたのだけど、そんな中でこの本が出たので、その練っていた文章を全部捨てて、「まずは『ユニコーン企業のひみつ』を読みましょう」とした。
- 非エンジニアも含めて文化を作って、ときにはスクワッドなどを通して色々な人とチームを組んで会社のミッションに取り組んでいくというストーリーが存在していることに注意しないと、「文化の中心」がエンジニアに寄りすぎてしまうなと思った。この相談を受けたときも「非ITエンジニアとして」みたいな主語が存在していたので、まずはこれを否定する作業をしていたのだった。
あともう1つハッとしたのは「チームが速く進むならお金を使うんだ」という発想についてで、実際この本自体も会社がオライリー本の定期購読してくれているので、本棚に行ったら既にあったので読めているんだけど、そういう文化のない企業だと、お金を使う速度が違うことがあるんだなということ
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
オライリー本を気になったときに、紙の本の在庫(これはAmazonで売り切れている)や電子版の有無を気にしなくても発売日近くには会社に届いていてアクセスできるのは便利で、確かにそれが派手だから金を払っているのではなくて、それが省略できることで速度が上がるからという説明は腑に落ちた
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
- 「XXXにお金を出します」というのは何をどうやって速度を高めるかという話であるのだなという視点は今まであんまりなかったなという気付きがあった。例えばこの話は「オライリーの本が全部読みたいときに読めて、発売日には届いてて便利だなあ〜」というくらいの受け止めだったけど、たしかにこうしてある程度読むだろうからということでオライリーの定期購読にお金を出すことで、僕らがその本にアクセスする速度が上がってそれがアウトプットとか成果の速度の向上に繋がるのはそりゃそうだなと思った。
オライリー・ジャパン社の定期購読サービスを福利厚生として導入し、ついに最初の書籍が届きました!キャンペーンコードをお伝えしたので、ノベルティもセットでいただきました。 pic.twitter.com/sjyg2vTlLj
— Gyazo (@gyazo_ja) 2017年5月1日
この「信頼する」と「権限を与える」の2つが出来なくて失敗したスタートアップのチームを身近で見たことがある(注: 所属していた訳ではない)ので、スタートアップだったら自然と出来る訳ではなくて、こういう考え方をどこかから仕入れたり身につけたり思いついたりする必要があるのだなぁと思い出し
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2021年5月4日
- ある後輩がスタートアップに誘われてCTO的な立ち位置に居たんだけど、ある時その後輩とそのスタートアップのCEOとそれぞれと話す機会があり話を聞いてみると、その後輩は「示されている締め切りには間に合うのだから、間に合えばその間はどういう進め方でもいいだろう」と思っていたが、CEOは締め切りが迫っているのに焦っている気配がなくて心配なので、「もっと真面目に取り組んで欲しい」みたいなことを言ってしまうという衝突があり辛いという話だった。そのCEOに「締め切りに間に合うと言っているのならそれを信頼するのがまずが必要なのでは」と伝えたりしていたけど、まさにこの話だな〜と思った。
- CEOやマネージャーはチームを信頼して権限を与えて、口を出さない。チームは一方で社が示しているミッションやゴールを達成するように頑張って信頼に応え続ける。この往来をお互いにやっていかないとそこがズレてしまって軋轢になってしまうんだなという風に当時のことを思い出したりした。
- この本を読むとこの2つ「信頼する」と「権限を与える」がとにかくキーワードとして出てくる。この本を読む前から僕の所属している会社ではそういう文化があったけど、一方でこのエピソードのようにその文化が無く衝突してしまうこともあると思うと、この2つの柱を獲得できていたのは良かったなと思うものの、これをどうやって得るかという問題はありそうで、この本でも天賦されるようなものとして登場するので、これを得る得ないの断絶があるのは辛い。これからは断絶していそうなときにこの本からその発想を得られるのは最高なのでは?
というわけで感想と本を読んで思い出したりしたエピソードを書き殴ってみました。