『響け!ユーフォニアム』、テレビシリーズも超最高で京都アニメーションのこれまでが詰まった素晴らしい作品で大好きだったので、続編+劇場場が決まった時は本当に嬉しかった。
というわけで久しぶりに映画を上映日に観に行った。
以下、テレビシリーズと劇場版のネタバレを含みます。よろしくお願いします。
劇場版は総集編という話は事前に告知されていた。合わせて前情報として新規カットがあるのとさらには全編再アフレコといことだったので、京アニ作品の劇場版総集編と聞いて思い出されるアレとかアレとかのようにはならないだろうなと思っていたんだけど、それらやその他の総集編とは比較できないくらい、しっかりと作り込まれた総集編だった。
劇場版の素晴らしさを語るには、ここで少しテレビシリーズについて振り返っておきたい。
『ユーフォニアム』の素晴らしさは石原監督、山田尚子さんのタッグによるコンテ・演出、総作監は池田晶子さんで楽器が手描きで描き込まれていたり、撮影効果も石原・山田両氏のこだわりを更に引き立てる素晴らしい効果で、本当に驚くほどキレイで作りこまれている画面がどんどんと出てくるところだと思う。
各話それぞれに素晴らしい映像があったのだけど、例えばアニメシリーズ8話のラストシーン、山の頂上でのやり取りのシーンは本当にスゴい。街のキラキラに麗奈の髪やドレスが風に揺られながら輝いて見える。その神秘的なシーンで交わされる『愛の告白』、そして2人での演奏。
実はその裏ではお祭りが開催されていて、葉月が秀一に告白するも秀一は久美子が好きで断るシーンがある。このシーンのあとに久美子と麗奈の2人のキラキラしたシーン。この対比がこのシーンを一層際立たせる。この話を百合回だと言っている人がいたけど、百合なんて甘ったるい表現では足りない。あの演奏のシーンは2人の性行為以上のものだとも感じさせるくらい艶めかしく尊くそして危うい。それもこれも全部「青春」の見せる熱っぽさがあってのことでそういう雰囲気しっかり演出しているのも、流石「けいおん」や「たまこ」を経験した山田さんだなぁと思った。
『ユーフォニアム』は吹奏楽部を舞台にしたアニメということもあり、音も丁寧に作られている。特にテレビシリーズ第11話の再オーディションのシーン、ほとんどの視聴者は僕も含めてアニメが好きで観ているので、音楽や吹奏楽に対しての耳はほとんどと持ってないにも関わらず、誰にとっても明白な演奏の差が表現されていて本当に驚いた。
テレビシリーズの『響け!ユーフォニアム』は本当に京都アニメーションの底力を魅せつけられた作品だった。冒頭で前情報として新規カットなどがあるということでこの物語が更にどのような進化を遂げて劇場のスクリーンにやってくるのか楽しみで楽しみだった。
『劇場版 響け!ユーフォニアム』はその期待を裏切らない、むしろしっかりと越えて行ってくれる素晴らしい作品だった。
特に演奏シーンはしっかり作り直されてた。ここは山田さんの担当パートだったらしく、サンフェスのライディーンのシーンに至ってはライディーンがフル尺になり、各人の演技や振る舞いがしっかりと描かれていたし、京都府予選も同じく大幅に描き加えられてた。
他のシーンも前後の繋がりを補足したり、また今回の劇場版尺になるにあたって、劇場版だけを観るとテレビシリーズとは違った人間関係に見えたりするので、その部分に合うように演技が付け直されていたり、主題を浮き上がらせるように強弱が少し変更されていたりした。
劇場版観た後の感想はTwitterにざっと書いたので下に貼っておきます。
ユーフォニアム劇場版、本当にテレビシリーズの良いところが濃縮された感じだったから、改めてテレビシリーズ見直したいな。 劇場版だとCMやエンディング入りを利用した間とかの演出効果が味わえなくて、テレビシリーズの時はここのCMとかずっとそわそわしてたなあとか思い出した
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日
たとえばアニメシリーズ8話のラストとか、再オーディションの11話とか。
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日
尺的にテレビシリーズみたいにじっくりとはいかない部分も新規カットや再アフレコで補われていて、これまでの総集編とは違って、テレビシリーズと交互に何度も見直したい
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日
ナツキ先輩に関する描写が少なかったのがちょっと残念だったかも。久美子がナツキ先輩を見て負けてられないと思うシーンと最後の予選前のグータッチがあったけど、やっぱりその間に10話の印象的なやり取りがあるからグータッチとかが映えると思うんだよなあ。
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日
パンフレットスタッフ対談内で石原監督がナツキのシーンを入れられなかったのが残念と仰ってた
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日
さらに劇場版パンフレット内で山田さんがテレビシリーズのユーフォニアムを劇場版尺にするに当たって、3つのルートがあったと思うということを仰っていた。
1つは実際に劇場版で中心になった「久美子と麗奈の関係を軸にしていくルート」、他の2つは「滝先生との関係の中で部が1つになっていくルート」と「あすか先輩との関係を通って行くルート」。その中でも久美子と麗奈の関係を主題にテレビシリーズ『響け!ユーフォニアム』が再構成されたのが『劇場版 響け!ユーフォニアム』というのが正しそう。
それを強調するためなのか、再オーディションのシーンで高坂麗奈に投票するのは久美子だけになっていたことに気付いた。
テレビシリーズ版の該当シーンを観て気付いたのだけど、香織先輩に投票したのが優子と部長、麗奈に投票したのが久美子と葉月だったのが、映画だと優子と久美子の2人に見えるようなカットになっていた気がする。
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月24日
上のツイートにも書いたけど、久美子が本気になるキッカケは麗奈とのこともあったとは思うけど、やはり個人的にはナツキ先輩とのやり取りというのが外せないと思ったので、そういうのを再確認する意味でもテレビシリーズをもう一度確認したいなと思った。
前売り券4枚あるので、誰か一緒に見に行きましょう。また見たら感想追記します。
感想追記
劇場版 響け!ユーフォニアム、『好き』の使い方だけがどっちつかず(しっかり扱うわけでもなく、なかったことにするわけでもなく、エッセンスが散りばめられている)のだけがとにかく惜しいなぁと思ってる。
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年5月23日
作中では何度も『好き』という表現が出てくる。発話する人物やタイミングによってloveだったりlikeだったりそれは色々なんだけど、何度も出てきて最後の12話も久美子がそこで気付くのだけど、その部分がすごく中途半端になってしまっているような気がして本当に惜しいなぁと
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年5月23日
テレビシリーズ12話部分の滝先生のやり取りで『好きってそういうことですよね』と久美子が言うシーン、それ以前に久美子が『好き』という言葉をユーフォニアムに対して使うシーンがないので、カオリが『上手じゃなくて好きなの』と言った回想シーンから連想する必要があってもったいないなぁと思った
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年5月23日
祭りをきっかけに麗奈が久美子に一気に接近したのが劇場版で、テレビシリーズ版は高校でまた同じ部活になったことで徐々に接近していく、その時間の掛け方が違うだけで、麗奈が久美子を気になったのは中学の時のあのタイミングで一緒だからなぁ(分かりづらいと思うけど
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年5月25日
</追記ここまで>
また、AmazonではBDが劇場版ポスター付きという状態です。
響け!ユーフォニアムのBD、劇場公開記念の劇場版告知ポスター付のやつあった https://t.co/chBotrHWiw
— マジカルペンネくん🍝 (@pastak) 2016年4月23日